Garden of Ruin 

 さぁさぁ、ようこそ紳士貴婦人の皆様。此れはとある二人組の眼に映し出された、永久の楽園の物語。果たして喜劇なのか悲劇なのか、それは本人達にも分かりますまい。何故なら彼等もまた、観客だと思っているのですから。


Mermaid and Gage Princess 

 花の香りに誘われて、二人の姫は出会ってしまった。それは幸か不幸か、決して触れ合うことの出来ない、天空と水面の狭間での出逢い。限りのある生命の温もりを知る二人はいつかその手を取るのか。歩み寄れぬ姫たちの物語で御座います。


Pianist and Violinist 

 音の響きに誘われて、奏弓師と奏鍵師は互いの音楽を聞き合う。途切れることのない調べ、楽園に響き渡るそれは本当に彼らの音なのか。それとも、彼らに贈る葬送曲なのか。願いを叶えれなかったが故に音楽を奏でるものと、願いを叶えたがゆえに音楽を奏でるものたちの物語で御座います。


Lamper and Clocker 

 星の灯りに誘われて、二人の少女は楽園に召喚される。過去を紡ぎ出す時計と未来を紡ぎ出す灯り、二つを持ち併せて彼女たちは存在する。無垢な瞳で時の動かぬ楽園をただ、ただ見守りながら死を生きる幼子たちの物語で御座います。


Gardenia and Gardenia 

 土の匂いに誘われて、庭師の青年は自分の祖父を見つける。彼等が終ぞ果たせなかった約束を、再び果たす機会を与えられた二人。楽園にある不香の庭園へ花を咲かせるために、仕事を続ける祖父と孫の物語で御座います。


Hunter and Hunter 

 風の囁きに誘われて、兄妹の弟子は再会を果たす。いつしか獲物は獣から彼へ、その野望が終ぞ果たせなかった人生を繰り返し、妹弟子は兄弟子へと矢先を向ける。報われなかった者が再び機会を得る物語で御座います。


Storyteller and Performer 

 物語はいつまでも続くものです。劇も、私がやめると言うまで終わらないのです。姫たちも、楽師たちも、少女たちも、庭師たちも、狩人たちも。皆、いつしか終わると思っている舞台に身を投じてくれているのです。これは箱庭に閉じ込めた者と閉じ込められてしまった者たちの、

 ――永遠に続く物語で御座います。

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