序幕「お帰り。故郷へ」
――晴れた空の下、日の光さえまともに入らない暗い森の中を、脇目もふらずに颯爽と駈けていく者たちがいる。赤髪の少年を先頭に連れだって走り抜けるその姿を見るものは、魔物も含めてもおらず、ようやく視認されたのは森の出入り口に姿を現してからだった――
雲一つない青空が広々と渡っている、空気を胸いっぱいに吸い込んでも澄んでいて、もう鉄の匂いは一切しない。鳥のさえずりが聞こえる、心地よい風が吹き抜けていく、誰か自分たち以外の人の気配がする――ここは故郷の国・ハイマート。暗緑の森を抜けきったそこで、珍しく息を切らせていた兄は立ち止まって思い切り息を吸い込むと、野営地にいる人たちの迷惑にはなりそうな程大きな声で言葉を紡いだ。
「――帰ってきたぁーっ!」
「叫ばなくても……」
銀髪の青年は同じように立ち止まって膝に手をつく、どうやら足場の悪い鉄の森を一気に走ったことは、普段大きく動くことのない彼にとって多大な負担となったらしい。銀糸が身体の前に垂れてきていて、汗を吸ったのか少し重みがあるように見える。かなり疲れてしまっているようだ。意外と力持ちだということ、案外体力が無いことは以前から知っていたが、今回はかなりの無茶になってしまっただろう。
先頭に立って周りを見渡していた少年は後を追いかけてきた一団の中へと戻ってきて、ため息をつきつつも微かな笑みを浮かべた。鉄の森の匂いがどうしても無理だと言っていた彼にユティーナが結界を掛け、その結界が切れてしまう前に抜けきってしまおう、というのが今回の行動理由だった。そのためか、特別何があるわけでもないのに先頭に躍り出て先を行くエイブロを追いかけるしか無かった。
「ノウゼンさん、ガディーヴィさんだから何を言ってもしょうがないですよ」
「だって何日ぶりだと思う!?俺は、このハイマートの空気が好きなんだよ!」
「はいはい。ハイマートは皆の"故郷"だものね」
「おう!」
元気良く答える自分の兄に対して呆れてしまう、息を切らしているというのによくそんな元気が残っているなと感心するしか無い。そんな気持ちになる理由は勿論知っている、兄がこの国を特別好いているということは昔からだ。
――ハイマート王国はアルストメリア王国やフォブルドン共和国などに比べると森が圧倒的に少ない、その代わり広大な草原が各地に広がっており、作物などは育ちにくいものの街を開拓するにはうってつけの国土を持っている。時折その原っぱでは行商人たちが市を開き、大勢の人が目掛けてやってくる事もしばしば。旅慣れしていない人は馬車での移動が必須となってくるが、それを苦に感じている人はほとんどいない。その景色は何も無い見渡す限り草原、一から作り上げたことを想起させる光景で、かつてこの地を開拓した人たちに敬意を評し"故郷"の国と私たちは呼ぶ。
青年は諦めたように顔を上げると、隣で同じく膝に手をついて息を整えていた少女の肩を叩き腰を上げた。美しい黒髪を少し乱してしまった彼女は、結っていた白のシュシュを解き、長く垂らして髪も整え始める。ノウゼンさんより体力があるのだろうか、余り息切れはしていないようだ。
「こいつに何を言っても無駄だったな。ほら、行こう。報告書はもう書いてあるから、あとは提出するだけだ」
「お、さすがノウゼン!」
嬉しそうに声を上げられて思わず兄を睨みつけると、誰と示し合わせた訳でもないのに全員の視線が同じ所に向かっていた。彼の腕を引いて文句を口から吐き出す、報告書の類はあくまでギルド長の仕事だ。
「さすがって、兄さんの仕事だよ?分かってる?」
「いて!ってわ、分かってるって。ごめんな、ノウゼン」
「許してやらん。次からは絶対手伝わないからな」
つん、とそっぽを向いた青年に対し、兄は泣きそうな声でそちらを振り返る。彼にとっては報告を書くことは重要ではない、ましてや今までも散々してきたことである、兄の字の汚さに耐え切れなくなって。ただいつの間にやら任せっぱなしにされていることが嫌なだけで。
「やめて!まじ俺報告書とか書けないんだって!」
「そりゃいつも人に任せているから、上達も何も無いだろう。どうせ普段もティリスに任せていただろ?」
「うぐっ」
「全く、妹のお前が甘やかしてどうする」
何故か飛び火した言葉に私もそっぽを向いた。確かに甘やかしてばかりと言われがちだが、別にそうしたくてそうしているわけでもない。今回の場合も私と兄さんの問題だけではないし、兄の行動によって自分までとやかく言われる可能性が高くなるのは避けたかったのだ。でなければ、旅の前にわざわざ報告書をお願いしますなどと嫌いな人に頼むわけがない。
「兄さんに任せるより自分で書いたほうが正確ですし、字も上手な自信がありますし、何より報告する内容としてふさわしいものを選べます」
「なるほど、確かにそれは一理あるな。おいガディーヴィ、お前もう一回学校に入りなおしてこい」
「え、金がない」
「金があったら入るのか」
笑いを必死に堪えているユティーナとエイブロを見つつ、兄の頭を槍の柄で軽くこつん、と叩く。そういう問題ではない、というかいつもそうだが兄は人の嫌味にはあまり気づかない体質らしい。笑みに顔をひきつらせながらも野営地の出入口へと歩いて行けば、運良く空いた馬車が一台止まっていたため、皆で兄を言葉でつっつきつつ乗ることにした。
王都に着く頃になると日は沈みかけ、夕日に照らされた城を馬車の中から眺めることが出来たぐらいだった。久しぶりに見た白亜の城に三人で喜び、他二人が静かにその周りをじっと見ているあたり、このギルドはバランスが取れているのだなとしみじみ思う。門で降ろしてもらってまず目に入ってきたのは、相変わらず長閑な街並み。灯明があちこちに散らばりはじめたこの時間帯は、ユティーナと別れた時のことを思い出させた。あの時はいつかまた、と約束して別れたのだったか、その後すぐに再会してしまったため感動も薄かったがなんだか懐かしくなる。
その足で協会に向かうことにしていたため、街を大きく分ける通りをゆったり歩かずに路地へと入っていく。荷物を宿屋に置きに行く、という手もあったのだが、今後の予定によっては泊まる場所を変える必要があるためまずは協会、ということになっていた。
協会の扉を両手でそっと開けると、ちょうど違うギルドの人がカウンターから離れていくところだった。こちらに気づいて青年は手を挙げ、私たちがいる入り口に近づいてくる。顔は知らないが向こうはこちらの顔を知っているらしい、銀色の髪を後ろでまとめた青年は優しそうな笑みを浮かべた。
「お帰り、このところあんまり見なかったけど、どこか行ってたのか?」
「ただいまです。ちょっと隣の国にまで――」
「お、それはすごい!お疲れ様、ゆっくり休めよ」
扉を開けて出て行く青年の後ろ姿を見送った後、自分たちもカウンターへと向かう。この人も久しぶりだ、一週間近く会っていないだけだというのに何だか酷く懐かしく感じる――きっと、向こうの国でこんな気弱な人はいないからだろう。あの国に住まう人、獣人たちはとても強く行動力もある人達ばかりだったから。
「次の方―…………ああ!おかえりなさい!」
「ただいまです!今さっき帰ってきました!」
「ああああ、無事だったんですね!良かった、無事で何よりでした!」
どうやら相当心配してくれたらしい、受付のお姉さんの態度に小さく苦笑いを浮かべながら報告書を出そうとすると、ちょうど横の応接室から協会長が出てきた。相変わらずきっちりとした格好だったが、今日は前にも増して一段と緩みが少ないように見える。もしかして大事な客でも来たのだろうか、その表情もどこか固く感じた。
「ただいまです、協会長」
「おお、お帰り。無事に帰ってきたか!うん、上出来上出来」
「全員無事です。あ、これが今回の報告書です」
うんうんと頷く協会長に笑顔で報告書を差し出す兄だったが、受け取った協会長はすぐに顔をしかめた。何度か兄直筆の報告書を見ているからだろう、丁寧に書かれた文字とその内容では兄だと思ってくれなかったようだ。慣れたように目を通しながら、協会長は兄へ低い声をかける。
「ガディーヴィ。お前、ノウゼンに書いてもらったな」
「え、あ、はい」
二枚に渡る紙を机の上で揃え、私たちの方へとちらりと視線が寄越される。兄に書かせると読めない、昔そう言って私やノウゼンさんが代筆という形で提出することがほとんどのため、文句はあまり言われていない。ただし私たちは、というだけだが。
「まあ報告書は読みやすさが優先だから、これでも良いんだがな。あんまり代筆ばっかりやっているとそのうち「報告書を書くのはギルド長以外でお願いします」とか来るぞ?」
「酷いっす」
「事実だ」
何故か後ろにいた銀髪の青年に言われ、更に落ち込む兄にため息を漏らしてしまった。確かに見やすいのは明らかにノウゼンさんの字の方だ、だが情けないというか、それでいいのだろうかという気持ちが強くなってくる。私たち兄妹はしばらくこの形でやっていくしかない、直属に雇われる機会でもなければ報告書まみれの生活からは抜けられない。
協会長は私たちのやり取りに呆れた顔で笑みを浮かべる、兄がこの協会にお世話になってから三年は経っているはずなのだが、未だに報告書が書けないのは協会としても辛いはずだ。
「確かに書いた人間はそこまで重要ではない、どうせ見るのは城の方々だ。ただお前の名前で通るだけだからな、必要ならば予備も用意しておくから、内容を覚えて字の練習もしつつ勉強したまえ」
「さすがは、ですね。抜け目の無い会長らしい」
「……言葉に棘があるように感じるのは私の気のせい」
「気のせいです」
協会長の言葉を遮り、愛想が良い笑みを浮かべつつ荷物を降ろして言葉を紡ぐ。どうにもこの人との相性は悪いのだなと妙に自覚しながら、洋裁店のお姉さんから貰ったマントの留め金代わりにしていたギルド章を外す。ギルド章――結局、アルストメリアでは荷物の中にしまわれたままだったこれを、返すか返さないか。ここで依頼が終了ならばギルドももしや解散扱いになるか――そんなことを考えていた時、不意に協会長が言葉を発した。
「あぁ、そうだ。お前たち、明日城に行けるように支度を」
「は?」
「城で謁見をするようにとのご命令だ、陛下からの。陛下とお会いして報告出来るように」
思わずその場にいたギルド全員が協会長の方へと振り向き、彼の言葉に耳を疑った。それが聞き間違いだとすぐに思い至ったのは、普通は体験することでは無いからだろう。失礼だと承知のうえで、協会長に聞き返してみた。
「誰が、誰に会うって言いました?」
「お前たちが、陛下に」
「あ、聞き間違いじゃなかったんですね……」
鞄をくくる紐をもう一度肩へとかけ直しながら後ろを振り向けば、黒髪の少女と赤髪の少年が動きを完全に止めていた。少女はともかく少年の方が固まっているとは予想外で、思わずじっと見つめているとふいと視線を逸らされた。
「でも何でですか?まだ報告書見ていらっしゃらないのに」
「詳しくは知らんが様子が知りたいんだと言っていたぞ。恐らく陛下直々の問答になるだろう、その言葉通りならば」
「そ、そうですか……」
陛下直々に話をする、その貴重な体験を喜ぶよりもまず、何故という疑問が湧き出てしょうがない。今報告書を渡したのだから、それを見てからでも遅くはなかったのではないのだろうか。一切合切聞かされていないらしい協会長が、いい笑顔で頼んだぞと奥へ引っ込んでいくのを見送ったあと、置き去りにされた私たちはただお互いの顔を見合わせるしか無かった。
湯浴びを終えてほかほかの身体にシャツと動きやすいスカートを身につけ、首に掛けたタオルで髪の水分を取りつつ部屋を出て移動する。結局宿は全員で泊まることにして、諸々の用事が終わった後は明日の相談をする約束をしていた。特別何もすることはないと教えられたものの、気になってしょうがなかったのだ。
本当ならばゆっくりとその羽のように柔らかなベッドの上に足を放り出し、朝まで眠りたいところ、けれども解放感に浸るのはもう少し先の話になりそうだ。慎重に行動する必要もないし、協会の大部屋で雑魚寝するはめにならずに済んだのだが、ギルドとしての役目が終わっていない以上ゆったりと休むことは出来なくて。
いつも使っている宿屋の二階の奥にある大部屋、その扉を二回ノックすれば中から入れとの声がした。扉をそっと開けて中に入ると、ふんわりと心地いい香りがする。その正体はもう何となく察しがついていたため、香りの主に笑いかけた。
「ただいまー湯浴び終わったよ。いい匂いするね、ユティーナ」
「おかえりなさい、今私も終わったところです!」
椅子に座ったユティーナも髪を拭いているところ、ただしエイブロがそのタオルを手にしていて、仲良く互いににこにことしている。少年が少女の世話を細々と焼く様子は、彼女が姫だと分かってからとても自然に見えてしまう――彼らは恋人のようだから元々違和感をおぼえることなく見ていたのだが、それと同じくらいしっくりときた。周知の事実としてもう受け入れられた後だが、それでも一部の人の目にはあまりよろしくなかったらしい。
「いちゃつくなら外でやってくれ……とても気になる」
「早くお相手見つけたらどうですか。いつでも出来ますよ」
「ノウゼンさんは格好良いので、いつかステキな女性と出会えますよ」
「会えなくていい」
三人の会話を聞きながらタオルで拭いていると、兄がそのタオルをとって無言で拭き始めた。ある程度しか取れていなかった水気の感触が、突然一気に消えていくのが面白くて、つい笑いながら彼の顔を見上げた。
「兄さん急にどうしたの、珍しい」
「そうか?昔はこうしてよくやってたんだぞ……ほら、任せておけって」
もふもふとタオルで拭かれながら話を聞くはめになってしまい、更に顔をしかめた銀髪の青年に苦笑いしてしまった。多分兄は無自覚だろうから、ノウゼンさんも怒るに怒れないのだろう。
青年の視線の先、少し大きめの木製テーブルの上には予備に貰った報告書が二組置かれている。兄さんに一部、ノウゼンさんに一部渡ると思うのだが、今は共有するために出してあるとのことだった。一つを手に取って、水気が飛ばないように椅子へ座り直し、拭きやすくなればいいなと少し体勢を崩した。
「陛下も急に呼び出すなんて……そんなことをする人だとは思わなかったんだけれども」
異議を唱えるまではいかないものの、せめてその説明くらいはして欲しかった。何せ謁見など初めてで、報告しろと言われても何をどう報告すればいいのかすら分からない。ましてや相手はこの国の最高責任者、どうしたって自分のような一般人が会う人物ではない。
お話したことはないが、その姿なら何度か拝見したことがある。国立学校に訪れていらっしゃった事があったからだ。同じ理由で恐らく兄さんやノウゼンさんもお会いしたことがあるはず、あの先生たちと行動をよく共にしていたからなおさら。
まだ一週間と経っていないにも関わらず懐かしく感じる、金色の短髪を風に靡かせた魔法使いに、焦げ茶色の髪を後ろに撫で付けた騎士。あの二人の本職は城仕えと言っていい、現に国王・フェンネルが学校を訪問していた時も、あの二人が出迎えに行っていた。珍しく堅苦しい挨拶をしていたことだけはしっかりと覚えている。
噂にならいくらでも聞いたことがある、けれども実際に会って話をするのはまた別だ。さてどうすればいいのだろうか、そう問いかけようとした時、兄さんが拭き終えたらしくタオルを手渡ししてきて、青年の隣の椅子へとゆったり座りに行った。
「ノウゼン、どっか体調でも悪いのか?」
ノウゼンさんが誰も居ないところを見ていたのに気付き、二人がかりで髪を乾かしていた少年と少女がこちらを振り向く。どうやら本人はかなり考え込んでいる様子で、声をかけられたことに気づいた彼は顔をようやく上げた。
「いや、考え事をしていただけだ。わざわざ謁見を要求する必要は無いだろうに、と思ってな」
小さく唸りながら青年はソファに身を沈めて思案する、自分も気になっていた部分のため、そちらへ自然と集中してしまっていた。確かにおかしいと思う、いくらなんでも急ではないだろうか。拭き終えたユティーナが目を瞬かせてノウゼンさんへと答える。
「会長の言う通り、他国の様子を聞きたいのでは?」
「報告書に書いてあるかもしれないのに?もしそうなら、普通は報告書を見てからじゃないのか、まだ何が書かれているかわからないのに。直接聞いたところで時間の無駄だし、それならば報告書を読んでから後日気になった所をこちらへ送り返してきた方が良いはず」
「――じゃあ、ノウゼンさんは謁見を罠だと?」
赤髪の少年がタオルを器用に畳みながら、眉をひそめて彼に問う。まさかそんなことは、と珍しくおどけて青年は身を起こした。
「何か思惑がありそうだと思っただけだ、城の連中は意味がわからない奴が多いからな」
「え……ノウゼンさん、城へ行ったことあるんですか?」
「これでも一応貴族なんでな。とりあえず、報告することの確認を行うぞ。聞かれて答える人はお前な、ティリス」
「なんで!?」
思わず振られた話題に素っ頓狂な声を上げてしまい、四人から同時に笑いが起こる。どうやらいつの間にか私が謁見中に報告する人となっていたらしく、話が何故そうなっているのか分からなくて兄に視線で訴える。すると彼はにこやかにだってよー、と言葉を続けた。
「いや、俺じゃさすがにまずいかなーって話をしていたんだ。そうしたら、ティリスが一番適任かなみたいな話に」
「ならないでよ!」
だが分が悪いのは自分の方だとよく分かる、赤髪の少年は頷き、黒髪の少女はいつも通り花のように可愛らしい笑顔。兄さんはいっそ晴れやかな笑みを浮かべていて、銀髪の青年はゆるやかに水を飲んでいるだけでどこ吹く風だ。
「諦めろー」
「ええ、陛下の前で話すの……」
嫌とかそういう話ではない、しくじったら自分の責任でギルドが大変な目に遭う。責任転嫁をしようとしているわけではないとは知っているため特別断る必要もない、ただ国王の目の前で話す自分の姿というのが全く想像できないだけで。支えはきっちりやるから安心しろ、と全員からフォローを受けるも、どうにも収まりが悪くて眉が寄る。一任されても困るものがあるのだが、この様子だと聞いてはくれないだろう。足手まといにならなければいいのだが。
お前が適任だ、そう言われると呆気にとられて返す言葉がない。他人任せを自分が高確率でやってきたこともあって、それを断るわけにはいかなかった、特に気持ち悪いほどにこやかなノウゼンさんの笑みが怖すぎて。青年が始めた話に耳を傾けながらも、頭の中は明日のことでいっぱいで、どうにか乗り切る為に集中していた。